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在庫管理

実在庫と理論在庫を一致させるには? 在庫管理業務、どう効率化する?

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物流管理・実在庫管理の手間を減らす・正確に管理するために

 物流管理・実在庫管理では、一般的には定期的な実地棚卸を実施し、倉庫や工場に保管してある資材や製品等を一点一点残数・残量確認します。帳簿の残高数と照合し、実在庫と帳簿在庫に差異が生じないよう在庫管理するわけですが、最終的な数字が一致せず苦労されている管理者も多いのではないでしょうか。

そこで、実在庫管理を効率よく管理する方法として定番のスキャナー技術を利用したバーコードシステムやRFIDシステムがありますが、IoT機器の発展に伴い、バーコード・RFIDの最新情報、現在注目されている製品情報の読み取り機器/システムをご紹介します。(連載)

 【管理システムの導入によるメリット】
  ・数量の数え間違いなど、ヒューマンエラーの防止
  ・現場作業の効率化および標準化によるQCDS状態の見える化
  ・有機溶剤など危険原材料や数(残量)を見える化し、重大事故や災害を防ぐための厳格な管理を実現
  ・入出庫/保管/棚卸しなど、業務・管理効率の向上
  ・データ連携により、リアルタイムに在庫情報が確認できる
  ・ペーパーレス化の推進

 【デメリット】
  ・導入時の初期コストが発生
  ・情報を読み込むためのバーコードリーダー、電子タグやバーコード・QRコードが必要

バーコード・システムの活用

 1.1 バーコードリーダーは、大別すると下記4つのタイプがあります。従来は紙・ラベルのバーコードが主流でしたが、現在では金属・プリント基盤・ガラス・セラミックスなどの様々な材質にマーキングすることも可能で、バーコードリーダーも数千円で購入できるものもあります。また、最近ではiPhone(またはiPod touch)・スマホを利用して、専用のアプリをインストールしてバーコードリーダー/QRコードリーダーとして使用することもできます。運用の仕方によっては、代用品として活用に耐え難い場合もありますが、まずは業務でどの程度バーコードを活用するのか、倉庫・工場の照明度、製品の形状や保管状態など業務・運用状況についてご確認いただき、その運用に適したバーコードシステムを評価検証してから導入されると良いでしょう。

《利用上の注意事項》
 ・iPhone(またはiPod touch)・スマホは、バーコードを内臓カメラで撮影するため、撮影場所の明るさよって読み取り画像の精度が落ち、読み取り不良となる場合があります。読み取り検証が必要です。
 ・PC間の通信は、接続方法によって接続性や品質が異なるため、接続操作方法、通信開始するまでの所要時間、通信の安定性・転送速度など用途・利用状況等の確認が必要です。
 ・ハンディターミナルは高価です。落下防止策としてストラップやベルト等のご利用をお勧めします。

《種類》
 1)ハンディターミナル型
  ハンディターミナルは、主に製造・流通/物流/小売等で利用され、在庫管理や入出荷管理・ピッキング作業等に適していますが、現在は多様な用途で利用されています。バッチ機能があればまとめて上位機種(ホストコンピューター)に一括データ転送することも可能です。その場合、大容量メモリの検討も必要になります
   
 2)スマートフォン(内臓カメラ使用)装着型
  スマートフォンやタブレットのジャケットカバ―にバーコードスキャナを装着したタイプで、携帯端末機能はそのまま利用可能、従来の端末に比べ低コストで、軽量・薄型です。
   製品例 ⇒ Welcom design KK
                     ⇒ AsReader CAMERA-Type 

 3)リング型・ポケットサイズ型
  小型軽量なモデルが多く、携帯性に優れます。リング型の場合、片手にバーコードリーダーを持つ必要がなく、作業のために両手を使えるメリットがあります。Bluetooth Low Energy (BLE)に対応した製品も出ており、ボタン電池1つで数年稼働する超低電力。ただし、BLEはBluetoothとは互換性がなく、Bluetoothのロゴ表記を参考にバージョン・互換性の確認が必要です。
   製品例 ⇒
               リング型:ウェアラブルスキャナ (ユニテック・ジャパン)
     ポケットサイズ型:ポケットワイヤレススキャナ (ユニテック・ジャパン)

 4)OCR機能つき・ハンズフリースキャナーも!
       ペン型は、スキャンされた単語や文章の画像を"テキスト"として認識し、ワードなどのソフトに直接ペーストできるOCR機能つきの製品もあります。ただし、インターフェースは、USB接続で有線・赤外線・Bluetooth・クレードルなど製品によって異なるので確認が必要です。

      その他、固定式のハンズフリースキャナーは、液晶画面や印刷物など、どのような媒体のバーコードも読み取ることができ、1回のスキャンで複数のバーコードを読み取ったり、静止画や動画も撮影可能な、非常に活用範囲の広い製品もあります。運用に期待される製品です。
       製品例 ⇒DS457 固定式イメージャ(ZEBRA)

 5)バーコードシステムの活用にちょっと便利なアプリの紹介

  ●作成バーコードのチェッカーアプリ
   2019.1月販売予定、バーコードが正しく作成されているかを手軽に確認するためのモバイル検査システムで、「料金代理収納バーコード」、「医薬品・医療機器バーコード」、「食品原材料バーコード」用があります。いずれのシリーズも、専用アプリ(Android対応)をインストールして対象のバーコードを読み取り、商品識別コード(GTIN)やロット番号・製造年月日・有効期限や賞味期限などの情報が正しく印刷されているか簡単に確認することができます。
           製品例 ⇒【 かんたんチェッカ】(アイニックス株式会社)

  ●無料のオープンソース在庫管理システムSASO
   在庫管理システムとしては機能はシンプルですが、「何が」「どこに」「いくつ」あるのか明確でわかりやすく、ラベル印刷機能もあり、バーコードによる数量管理や棚番等の管理もできます。小売店や小規模企業向けの在庫管理にはお勧めのシステムです。ただし、オープンソースですので動作環境に制限があり、ITの基礎知識や情報セキュリティ対策が必要です。
           製品例⇒ 在庫管理システムSASO

RFIDの活用

 1.2 RFIDシステム(Radio Frequency IDentification System)は、リーダーライター(またはアンテナ)を使用して「RFタグ」と呼ばれる電子タグの情報を無線(電波・電磁波)で収集し、サーバーなど上位機器でそれら管理情報を収集して一元管理可能にした通信管理システムです。活用事例としては、生産現場での作業指示や在庫管理、履歴管理(貸出記録や生産・検査履歴等)、モノの追跡など様々な用途で活用され、今後ますます幅広い用途での活用が進むでしょう。

 また、情報を電波(*1)や電磁波(*2)で伝送するRFIDシステムを導入する場合は、電波不正傍受よる情報の改ざん・破壊・漏洩など危惧すべき点もありますので、情報セキュリティ対策についても検討が必要です。

 【情報漏えいリスク】
  *1 UHFのように通信距離が長い周波数帯を使用するRFIDでは、傍受できる距離が長いため、今まで以上に情報漏洩の危険性が高くなります。

  *2 LFやHFでは、個人情報にあたる履歴・記録等をRFタグに記録して活用されるケースも多い。電磁波についても、スマフォやパソコン等から微弱ですが電磁波が放射されています。 これら不要な電磁波を介してモニター画面の表示情報が漏えいすることもあります。

《種類と特徴》
 RFID の種類は、通信方式や周波数帯など分類の仕方によって紹介の仕方も違ってくるのですが、本稿ではRFID製品でよく使用される周波数(/空間伝送方式)で大別し、その種類ごとに特徴を記載しています。また、無線で読み取り可能な距離は、アンテナの大きさや用いる電波の強さによって利用条件が異なりますのでご注意ください。

  1) LF帯(長波帯 ~135kHz)/電磁誘導方式
   ・通信距離 : 最大「~1m」と短い(単体利用向き)
   ・値  段 : 高 価
   ・メリット : 金属や水分の影響を受けにくい
   ・デメリット:
               -生活ノイズ(蛍光管のインバータ・ノイズなど)の影響を受けやすい,通信速度が遅い
                -通信距離が短く、アンテナの巻数を多く必要とするため、薄型/小型化は困難
   ・適  正 : 車のキーレスエントリーなどの無線通信に利用
   ・活用事例 : スキー場のリフト券(電子チケット),回転寿司の皿(精算用),家畜への埋め込み(生産管理など),イモビライザー(自動車の盗難防止装置)等

  2) HF帯(短波帯 13.56MHz)/電磁誘導方式
   ・通信距離 : 最大「数十センチ」と短い(単体利用向き)
   ・値  段   :  安 価
   ・メリット :  
     -水・塵埃の影響が小さい ※雪:雪質によってアンテナに影響あり
     -非導電体(人体、ガラス、木材)への透過性が良い
     -生活ノイズに強い(蛍光管のインバータ・ノイズなど)
   ・デメリット: タグとリーダー間に金属が入ると無線接続不可・通信が時々切断する
   ・適  正 : 人やモノを1対1で認証するような、近接エリアの用途向き
   ・活用事例  : 多数のタグを利用する商品管理システム向き、
            SuicaやおサイフケータイのEdyなどの電子マネーに搭載されているNFC(Near Field Communication)、運転免許書、社員証・学生証カード等

  3) UHF帯(極超短波 860~960MHz)/電波方式
   ・通信距離 : 最大「~ 10m」と長い
   ・値  段 : 安 価
   ・メリット:
     -一度に複数のRFIDタグが読み取り可能
     -電波が回折しやすく,障害物があっても回り込むため通信距離が長い
     -周波数が高く波長が短いため、タグやアンテナの小型化に有利
     -金属対応タグや、熱・水・薬品に対する耐久性が高いセラミックスICタグなども商品化されている
   ・デメリット:
     -メモリ容量が小さく、扱える情報量が少ない
      ・活用事例: 物流・在庫管理(アパレル業界等)、製品/外装ラベル等
   ・特記事項: 高出力型リーダライタを使用する場合は最寄りの総合通信局へ免許申請が必要

  4) マイクロ波帯(2.45GHz)/電波方式
   ・通信距離: ~5m
   ・メリット: 
     -高周波ゆえ、送信情報量が多い
     -UHF帯のRFIDタグに比べてアンテナが小型化できる。
   ・デメリット:
     -電波が水に吸収されて乱れ、通信が時々切断する
     -タグとリーダー間に金属が入ると無線接続不可・通信が時々切断する
     -電波の直進性が高く、波長が短いため障害物の回り込みが起きにくく障害物に弱い
     -無線LAN(Wi-Fi)でも利用されているISMバンドを使用するため、電波干渉の懸念あり
      ・活用事例: 物流・在庫管理、製造物履歴管理等
   ・特記事項:
     -電波法の規制あり(条件付き)
      ※高出力型リーダライタを使用する場合は最寄りの総合通信局へ免許申請が必要ですが、特定小電力タイプ(最高出力250mWで電波法認証取得した機器)はユーザー側で自由に使用可能です。

センサー(マイコン制御)による在庫数/在庫量の管理

 1.3 重量センサー(人感センサー付き)の活用
  重量センサーを搭載し、その上に物を置いて残量や残数を計測する、「重量測定」に基づく在庫管理が可能。

   ◎製品情報: スマートショッピング「スマートマット」、
         「KDDI IoTクラウド ~マットセンサー~」を2019/01月提供開始

 -超音波センサー
  タンクなど容量の大きい貯蔵物の残量が測定可能な超音波センサーもあります。
   
   ◎製品情報:「enevo」

まとめ

 1.4 まとめ
  実在庫管理に活用できる仕組みは上記のように色々ありますが、どのようなシステムにも長所短所があり、まずはシステムの特徴を正しく理解します。かつ、自社の現状を十分に調査し、どのようなシステムが業務・運用に適しているのか分析します。システムの導入を成功させるには、自社に合った最適なシステムを選定し、検証期間を設け、運用に耐えられるかシステムの機能や精度、使い勝手等確認が欠かせません。導入後の保守サポート範囲や保証についても確認が必要です。社内関係者への教育プラン、現場へのシステム展開・運用開始後のフォローアップなど一貫した在庫管システムの導入をお勧めします。

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